自動かんな盤(プレーナー)とは?

今回は工房の主力設備である「自動かんな盤」についてご紹介します!
日立工機の自動かんな盤

何をするための工具?

自動かんな盤を英語で言うとPlaner(プレーナー)と言いますが、この自動かんな盤とは一体何をするための機械でしょうか。(大工さんなどは「自動」と省略して呼んだりもします。)木工やDIYに興味がある人でも、意外とこの自動かんな盤を知らない人は多いと思います。サンダーや電動かんな等の方が知名度が高いというのが私個人の体感です。

自動かんな盤を一言で言うと、自動でかんなをかけてくれる機械、、、
つまり、板を入れると自動で厚みを揃えてくれる機械なのです!

かんなをかけて厚みをそろえるので、ささくれた板や汚れた板、塗装してある板を入れると表面の汚れている面が削られた状態で出てきます。当店ではまな板削りのご依頼を多数頂くのですが、自動かんな盤を使うことで、表面を平らにし、表層の汚れを取ることができます。
(まな板削りについては、こちらで記事を載せています)

正確に言いますと、上記の写真も、下に出てくるマキタの2031Sも「自動かんな盤」と「手押し盤」の2つの機能がついた複合機です。「自動かんな盤(プレーナー)」は上記の写真では左側の箱型の機械部分で、右側の長細い定盤がついているのが「手押し盤」です。「手押し盤」については後ほど記載します。

電動かんなと台鉋の違い

この自動かんなを使用した場合のかんながけというのは電動かんなと同じ方法によるかんながけです。つまり、丸い円柱型の座金に板状の刃を2枚程(枚数は機械によります)つけたものを高速で回転させて、木の表面を削り取ります。

マキタの自動かんな盤 2031S
自動かんな盤の内部です。回転式の刃がついています

木工に馴染みがない方が「かんな」と聞いてまず思い浮かべるような手で使うかんなは「台鉋(だいがんな)」と言います。

左)マキタの電気カンナ   右)台鉋

自動かんな盤、電動かんなの刃が回転するのに対し、台鉋は刃が下向きに固定されています。この台鉋と同じ方式で木の表面を削る電動のかんな盤もあり、これを超仕上げ盤といいます。台鉋と同じく刃が下向きに固定されており、その下を木が移動するようになっています。削る厚みによって、刃の角度を調整して使用します。当店で使用しており、今回ご紹介するのは、超仕上げ盤ではなく、刃が固定された座金が高速回転する方のかんな盤です。


マキタの自動かんな盤 2031S

さて、Studio7Squaresで現在使用している鉋盤はマキタ製の自動かんな盤で、
型番は2031S(替刃式)です。(これも「自動かんな盤」と「手押し盤」の複合機です。)私たちの工房では既に大大大活躍しており無くてはならない存在なのですが、Studio7Squaresの工具の中では新参者なのです。

マキタの自動かんな盤

本体重量:45kg
[自動側切削能力] 幅:312mm、深さ:3mm
[切削材厚さ]:4〜160mm
[手押し側切削能力] 幅:155mm、深さ:3mm

納入時の荷姿
届いた当時の荷姿です。頑丈に梱包されています。

サイズを気にしなければ他にも様々な選択肢があったのですが、工房の規模に見合った性能(加工幅や重量など)で、手押し盤(後で説明します)がついてることを条件として機種を選定しました。

下調べをしている段階で、この2031Sを使っている方のレビューに「鼻落ちがすごい」という内容があったので、日立製にするか迷っていたのですが、おそらくこのクラスの自動かんな盤では鼻落ちは避けられないと思います。(鼻落ちとは、材の端部に段差ができてしまうことです)

マキタ製にする決断をしましたが、結果的には結構満足しています。マキタに対する信頼は長年マキタの工具を使ってきて感じていますし、見た目もなんかかわいいので・・・

鼻オチについては、結論からいうと「します」。 しかし、対策がないわけではありません。 一度切り込み深さを深くして、どれくらいの長さの鼻落ちがあるか見定めてから、その分を余分に確保する(もしくはいらない材を継ぎ足すor先に通す)ことです。
使った限りでは最初に入れた方には鼻落ちしますが、最後の材の受け取りかたさえきちんとすれば一番最後の方には花落ちのくぼみはできませんでした。 一人で製材作業をするときは材送りローラーなどを使えば仕上がって出てきた材料が落ちたりすることも無くなります。

さて、集塵関係ですが自動かんな盤と手押し盤用にそれぞれアタッチメントが用意されていますが、それぞれ別売りです。自動かんな盤用のアタッチメントは粉塵排出口に簡単に取り付けられますが、手押し盤の方の集塵アタッチメントの方は、一度手押し盤を外す作業が必要になるので注意が必要です。

(別途、こちらでは2031Sのベルトの交換をした記事を掲載しています。)


手押しかんな盤とは

さて、先ほどから何度も出てきている「手押し盤」について簡単にご説明します。

手押し盤を使う目的は、ズバリ四つの角が直角(かね)になっている角材を製材して作るためです。インターネットを探せば図解でその原理を説明してくれているサイトがいくつもあるのでここでは詳細は述べませんが、実例を交えて簡単にご紹介します。
先日、ダイニングテーブルになる卓球台、卓球テーブルを特注で製作しましたが、その際にもこの手押し盤が大活躍しました。

*動作実演の動画はこちらからご覧いただけます。*

ホームセンターや材木屋さんで木材を買ってそのまま家具を組み上げると、ほとんどの場合はぴったり組み上がりません。これは、木材が製材されてから時間が経ち、木の繊維に応じて反ったりねじれたりしているからです。製作する直前に、こういった木材に一手間加えることでこれらの反りやねじれを取り、材料の直角を出していきます。

その直角を出すためには、まず手押し盤の工程が必要になります。
直角の角材に製材する大まかな手順は以下の通りです。
(卓球テーブルの製作レポートその1でも簡単にご紹介しています。)

1.先ほど紹介した鼻落ちの分を考慮して、大まかなサイズに材料を切り出します。ここではスライド丸ノコやジグソー、バンドソー、手鋸などを使います。

2.それらを手押し盤の下の面の定規に押し当てて一つの面に平面を作ります。反りによる凹凸の方向によってどちらに先に平面を作るか決める必要があり、凹面を先に平らにします。

3.一面作った平らな面を手押し盤の縦の定規地面に対して垂直な方に押し当てて、下の面が平らになるまでかんなをかけます。このことで、角材に二面の直角な平面ができます。(ここまでが手押し盤が必要な行程です)

4.直角な二面ができたら今度は手押し盤で平らにした面を下にして自動かんな盤に入れます。自動かんな盤では通常上にかんなの刃を固定したドラムがあり、下に可動式の平面な定規があるので、この作業によって手押し盤で削った反対側の面も平らにすることができます。

これを、2面で繰り返せば直角がきちんと出た角材の完成です。
イラストでまとめるとこのような流れです。

直角の出し方



もし、手押し盤での作業で直角がきちんと出せていないと、自動かんな盤を出てきた材料の断面はひし形のように歪んでしまうので、最初の手押し盤での加工を慎重にやることはとても大切です。

「プレーナー」とはあまり聞きなれない工具名ですが、家具製作には欠かせない、実はとても大事な工程を担っている工具であることがお分かりいただけたでしょうか。
文章では伝わりにくいところが多々あると思いますので、分かりづらい箇所があればコメントをいただけると助かります。

以上、今回は縁の下の力持ち的な存在である自動かんな盤のご紹介でした。

コメント